日本、劇的な戦いを制してプールC首位通過
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表が東京ドーム開催のプールCを首位で突破した。ここまでの戦いは、単なる順当勝ちでは片付けられない。大勝あり、宿敵との激闘あり、そして終盤の逆転劇ありと、まさに日本らしい勝負強さが詰まった予選ラウンドとなった。
初戦のチャイニーズ・タイペイ戦では13-0と圧勝し、好スタートを切った日本。続く韓国戦では一時リードを許す苦しい展開となったが、鈴木誠也、大谷翔平、吉田正尚ら主軸が存在感を発揮し、8-6で競り勝った。さらにオーストラリア戦では終盤まで0-1と苦しみながら、7回に吉田の一発で逆転。4-3で接戦をものにし、準々決勝進出と1位通過を決めた。
打線の爆発力と接戦での勝負強さ、その両方を示したことは大きい。特に韓国戦とオーストラリア戦を落とさなかった点は、連覇を狙う日本の地力を印象付ける内容だった。
韓国も執念の2位通過 混戦を勝ち抜く
日本とともにプールCを突破したのは韓国だった。韓国の予選は、日本以上に浮き沈みの激しいものだったと言える。
初戦でチェコを11-4で下し好発進したものの、続く日本戦では6-8で敗戦。さらにチャイニーズ・タイペイ戦では延長10回の末に4-5で敗れ、一時は敗退の危機に追い込まれた。それでも最終戦でオーストラリアを7-2で下し、最終的に2勝2敗で準々決勝進出を決めた。(オーストラリアとチャイニーズ・タイペイも2勝2敗だが、大会ルールにより失点率の差で韓国が上位となった)
最後までもつれた2位争いを制した韓国は、苦しい状況でも立て直す底力を見せた形だ。日本にとっても、同じ組を勝ち抜いた韓国の存在は、プールCの厳しさを物語っている。
オーストラリアとチャイニーズ・タイペイも健闘
突破こそ逃したものの、プールCではオーストラリアとチャイニーズ・タイペイも強い印象を残した。
オーストラリアは初戦でチャイニーズ・タイペイを3-0で破り、日本戦でも終盤までリードを奪うなど、しぶとい戦いぶりを見せた。結果的に韓国との直接対決に敗れたことで準々決勝進出はならなかったが、日本を追い詰めた内容は十分に評価できる。
チャイニーズ・タイペイもチェコに14-0で快勝し、韓国にも延長戦の末に競り勝つなど、力のあるところを示した。一方で、日本戦での大敗や初戦黒星が響き、勝ち上がりには届かなかった。混戦の中で実力を発揮しながらも、あと一歩及ばなかったという印象だ。
チェコは苦しみながらも善戦
プロリーグがなく、代表メンバーのほぼ全員が普段は別の仕事をしていることで前回大会では話題にもなっていたチェコ代表だが、今年も強豪を相手に善戦をしている。3月10日の日本戦を残して0勝3敗と、勝敗数では結果が残せていないものの、オーストラリアから1点、そして2位通過が確定した韓国からは4点をもぎ取っている。
「チェコ」とカタカナで書かれたユニフォームを着ていたことや、ハジム監督が2023年大会の日本代表・栗山監督と同じ背番号89を身につけたことなど、プレイ以外での話題も尽きないチェコ。残る日本戦でも奇跡と旋風を巻き起こすのではないかと期待がかかる。
また、いずれの代表チームも相手国へのリスペクトやスポーツマンシップが込もったプレイ、そして最後までどうなるか分からない激闘を見せたことで、日本の野球ファンの心をがっちり掴んだ印象的な予選グループとなった。
現時点で準々決勝進出が決定しているのは日本と韓国
3月9日終了時点で、準々決勝進出が決まっているのはプールCの日本と韓国のみとなっている。他の組はまだ決着していないが、上位争いの構図はかなり見えてきた。
日本としては、まず厳しい東京プールを首位で抜けたことが最大の成果だ。また宿敵・韓国との直接対決を制し、接戦も勝ち切って突破したことで、内容面でも価値の高い予選となった。
プールAはプエルトリコとキューバが優勢
プールAでは、プエルトリコとキューバがともに2勝0敗で先行している。カナダが1勝1敗で追い、パナマは1勝2敗、コロンビアは0勝3敗と苦しい状況だ。
この組では地元開催のプエルトリコの勢いが大きな注目点となっている。一方で、安定した戦いを見せているキューバも有力だ。現状ではこの2チームが突破候補の中心と言っていいだろう。
プールBはアメリカ、メキシコ、イタリアの三つ巴
最もハイレベルな混戦となっているのがプールBだ。メキシコ、イタリア、アメリカがそろって2勝0敗と並び、準々決勝進出2枠を3チームで争う構図になっている。
アメリカはスター選手をそろえる今大会屈指の話題チームであり、優勝候補の一角でもある。メキシコは強力打線の破壊力があり、イタリアも安定感のある戦いで存在感を示している。この組は最後まで目が離せない展開になりそうだ。
プールDはドミニカ共和国とベネズエラが有力
プールDでは、ドミニカ共和国とベネズエラがともに2勝0敗で一歩リードしている。イスラエルが1勝1敗、オランダが1勝2敗、ニカラグアが0勝3敗で続く。
ドミニカ共和国は圧倒的な選手層を誇るスター軍団で、優勝候補としての期待も高い。一方のベネズエラも総合力の高さが光っており、この2チームがそのまま突破する可能性は十分ある。日本にとっても、決勝ラウンドで当たる可能性があるだけに見逃せない組だ。
日本にとって理想的な予選突破に
日本は予選ラウンドで、強いだけでなく、苦しい試合を勝ち切る力も示した。大勝できる試合はしっかり取り、接戦では主軸が仕事を果たす。王者として非常に理想的な形で準々決勝へ進んだと言える。
一方で、他の組にはアメリカ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコといった実力国が控えており、決勝ラウンドはさらに厳しい戦いになるのは間違いない。それでも、日本がここまで見せた試合運びと勝負強さは、連覇への期待を十分に抱かせるものだった。
準々決勝以降でキーマンとなる侍ジャパン選手は?
野手のキーマン:吉田正尚
吉田を挙げる最大の理由は、“流れが止まった試合を一振りで動かせる”ことです。
実際にオーストラリア戦では、日本打線が6回まで無得点で苦しむ中、7回に吉田が2ランを放って逆転。そのまま日本は4-3で勝ち、プールC首位通過を決めました。予選を勝ち上がった今後は、点の取り合いよりも、むしろ1点、2点が重い試合が増える可能性が高く、こうした局面で一発で試合をひっくり返せる打者の価値は非常に大きいです。
さらに吉田は、単なる長打力だけでなく、日本打線の中で“勝負どころの落ち着き”を担える存在です。
大谷翔平や鈴木誠也のような圧倒的な存在感を持つ打者が前後にいる中で、相手投手はどうしても全体に神経を使わされます。その中で、最も「ここで1本ほしい」という局面を仕留められるのが吉田です。予選で実際に最も強く印象を残したのも、オーストラリア戦のこの一打でした。
投手のキーマン:山本由伸
投手では山本由伸が最重要だと考えます。
理由は、今大会は大会日程の関係上、先発投手が長い回を投げ切るよりも、4回前後までに試合の主導権を握る役割が重要になりやすいからです。MLB.comの大会展望でも、日本は先発が60〜70球前後に制限される想定で、山本は重要局面で柔軟に使われ得る存在として位置づけられています。実際、日本の初戦でも山本は先発として勝利に貢献しています。
しかも、準々決勝以降に想定される相手は、ドミニカ共和国やベネズエラのような一発と連打の両方がある打線です。そうした相手には、単に抑えるだけではなく、相手打線に「今日は簡単に流れが来ない」と思わせる投球が必要になります。球威、制球、変化球の総合力で最もその役割を担いやすいのが山本です。短いイニングでも試合の空気を支配できる投手という意味で、侍ジャパンの命綱に最も近い存在だと思います。プールDではドミニカ共和国とベネズエラがともに2勝0敗で先行しており、日本が次に相対する打線のレベルは一気に上がる見込みです。
どうしてももう1人挙げるなら:大谷翔平
追加で1人だけ挙げるなら、やはり大谷翔平です。
初戦のチャイニーズ・タイペイ戦では満塁本塁打を放ち、韓国戦でも中軸として勝利に貢献しており、相手に与える圧力そのものが別格です。今大会は投手ではなく打者専任と見られているため、なおさら打席でどれだけ相手バッテリーを崩せるかが重要になります。吉田をキーマンに挙げたのは「接戦で決める人」という意味合いですが、大会全体の天井を上げる存在はやはり大谷です。
参照:【マッチョは二度救う】吉田正尚『重苦しい空気を“筋肉”で振り払うッ!! 低め変化球を捉えた逆転2ランで “当然のように確信歩き” の衝撃…!!!』
参照:【奇跡を起こした】イ・ジョンフ『マイアミ行きのチケットは手放さない!!! 圧倒的不利を跳ね返して17年ぶり準々決勝進出!!!』
参照:【試合ハイライト】オーストラリア vs 韓国|2026 ワールドベースボールクラシック | Netflix Japan
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