試合結果概要|ベネズエラ 4-2 イタリア
試合は、序盤をイタリアが、中盤以降をベネズエラが握る”名勝負”ともいえる白熱の展開でした。
イタリアは2回にベネズエラ先発カイダー・モンテロの制球難を突き、押し出し四球と内野ゴロの間に2点を先制。対するベネズエラは4回、エウヘニオ・スアレスのソロ本塁打で1点差に詰め寄ると、7回に2死から3連続適時打で一気に逆転。最終的に4-2で勝利し、ベネズエラはWBC初の決勝進出を果たしました。
スコアだけ見るとロースコアの接戦ですが、中身はかなり濃い試合です。イタリアは主導権を握りながら追加点を奪えず、ベネズエラは苦しい時間を耐えた末に終盤で仕留めました。特に6回裏の守り切りと、7回表2死からの集中打が、試合の境目でした。
スコアが動いた場面
まず試合を動かしたのは2回裏のイタリアです。モンテロが制球を乱し、イタリアは満塁の好機を作ると、J.J.ドオラツィオの押し出し四球で先制。さらにダンテ・ノーリの二ゴロ野選の間に追加点を挙げ、2-0としました。イタリアとしては、派手な長打ではなく、相手の乱れを見逃さずに先手を取った形です。
ベネズエラの反撃は4回表。スアレスがアーロン・ノラのカーブを捉え、左中間へソロ本塁打。これで2-1となり、試合は一気に緊迫感を増しました。ノラはこの一発以外はよく粘っていましたが、ベネズエラに「まだ行ける」という空気を与えた一打でもありました。
そして最大の山場は7回表です。イタリア2番手マイケル・ローレンゼンが2死までこぎ着けながら、グレイバー・トーレスの四球を起点に流れが変わります。ジャクソン・チョーリオの安打で一・三塁となり、アクーニャJr.の内野安打で同点。さらにマイケル・ガルシア、ルイス・アラエスの連続適時打で、ベネズエラは2-4と一気に逆転しました。2死から4連打同然の攻撃で試合をひっくり返した、まさに勝負のイニングでした。
投打のハイライト ― 何が勝敗を分けたか
勝敗を分けた最大のポイントは、イタリアが中盤の追加点機を逃し、ベネズエラが終盤の少ない好機を逃さなかったことです。
イタリアは6回裏、無死から安打と申告敬遠などで満塁の好機を作りましたが、ベネズエラはアンヘル・セルパを投入してこれを無失点でしのぎました。この“耐えた守備”が、その直後の逆転劇につながっています。
打撃面のヒーローはベネズエラではスアレス、アクーニャJr.、ガルシア、アラエスです。
スアレスは反撃の号砲となるソロ本塁打、アクーニャJr.は同点打、ガルシアは勝ち越し打、アラエスはダメ押しの適時打。特に7回は、スター選手の一発ではなく、2死からのつながりで試合を決めた点に強さがありました。ベネズエラは8安打、イタリアは5安打。長打力だけでなく、得点圏での対応力にも差が出ました。
イタリア側では、ザック・デゼンゾが2安打1得点と気を吐きましたが、打線全体では5安打2得点止まり。序盤の押し出しや内野ゴロで点は取れたものの、相手を突き放す一打が出なかったのが痛かったです。勝てる流れを作りながら、決め切れなかった。そこがこの試合の本質です。
両軍のスターティングオーダーと打席結果のまとめ
ベネズエラ先発オーダー
- ロナルド・アクーニャJr.(右)… 5打数1安打1打点1得点
- マイケル・ガルシア(三)… 4打数2安打1打点
- ルイス・アラエス(一)… 4打数1安打1打点
- エウヘニオ・スアレス(指)… 4打数1安打1本塁打1打点1得点
- エセキエル・トーバー(遊)… 4打数0安打
- グレイバー・トーレス(二)… 2打数2安打、1四球
走塁・守備交代 アンドレス・ヒメネス … 1打数0安打1得点 - ウィルヤー・アブレイユ(左)… 4打数0安打
- ウィリアム・コントレラス(捕)… 2打数0安打
- ジャクソン・チョーリオ(中)… 3打数1安打1得点
イタリア先発オーダー
- サム・アントナッチ(遊)
- ジョン・バーティ(二)
- ジェイコブ・マーシー(中)
- ビニー・パスカンティーノ(一)
- ザック・デゼンゾ(指)… 4打数2安打1得点
- ジャック・カグリオノーネ(右)
- アンドリュー・フィッシャー(三)
- J.J.ドオラツィオ(捕)… 押し出し四球で1打点
- ダンテ・ノーリ(左)… 二ゴロ野選で1打点
オーダーの意図
ベネズエラのオーダーは、かなり明確です。
1番アクーニャJr.、2番ガルシア、3番アラエスで出塁・機動力・対応力を並べ、4番スアレスで長打を担保する構成。さらに5番トーバー、6番トーレス以下にも勝負強い打者が続き、上位で作って中軸から下位まで途切れない並びでした。実際、この試合では4番スアレスが流れを変え、1〜3番が7回に試合を決めています。打順の設計思想が、最も重要な場面でそのまま機能した形です。
一方のイタリアは、1番アントナッチ、2番バーティ、3番マーシーで機動力とつなぎを重視し、4番パスカンティーノ、5番デゼンゾ、6番カグリオノーネに長打力を託す構成でした。序盤に相手投手の乱れを拾って先制できたことを見ると、狙いは当たっています。ただし、後半に中軸が“試合を決める一打”を出せず、結果としては”作る打線”ではあったが”仕留める打線”にはなり切れなかったと言えます。
これは結果論ではありますが、準々決勝で惜しくも敗戦した日本代表・侍ジャパンにも言えるウィークポイントだったかもしれません。
投手陣の系統と結果のまとめ
ベネズエラの投手リレー
- カイダー・モンテロ … 1回1/3、2安打2失点、3四球、1奪三振
- リカルド・サンチェス … 1回2/3、無安打無失点
- ルイス・アビラ … 2回1/3、2安打無失点
- アンヘル・セルパ … 2/3回、1安打無失点、2奪三振
- エドゥアルド・バザルド … 1回無失点
- アンドレス・マチャド … 1回無失点
- ダニエル・パレンシア … 1回無失点、2奪三振でセーブ
イタリアの投手リレー
- アーロン・ノラ … 5回、1本塁打を含む数安打、1失点
- マイケル・ローレンゼン … 2回2/3、4安打3失点、2奪三振で敗戦投手
- K.ニコラス … 以降を継投して追加失点を止める
数字面で最も印象的なのは、ベネズエラが先発モンテロの早期降板を受けながら、残り7回2/3をブルペンで2失点のまま押さえ切ったことです。しかも終盤3イニングは走者すらほぼ許さない安定感で、イタリアに反撃の空気を与えませんでした。
継投の意図
ベネズエラの継投は、短期決戦のセオリーを徹底したものでした。
先発モンテロが1回1/3で不安定と見るや、早々にサンチェスへスイッチ。その後もアビラ、セルパ、バザルド、マチャド、パレンシアと、1イニングまたは1局面単位で最適解を当てていく継投でした。特に6回裏の満塁でセルパを投入した判断は、この試合最大級の采配ヒットです。ここをゼロでしのいだからこそ、直後の7回に逆転できました。
イタリアは逆に、先発ノラの出来が良かっただけに、5回で降ろしてローレンゼンに託した継投が分岐点になりました。もちろん、決勝まで見据えてノラを引っ張り過ぎない意図は理解できますし、ローレンゼンも実績十分の投手です。ただ、この日は2死から一気に崩れ、結果としては**「あと1人」から試合を落とした**格好になりました。短期決戦ではよくあることですが、この試合ではそこがそのまま勝敗線でした。
総括
この準決勝は、ベネズエラの「終盤の勝負強さ」と、イタリアの「あと一本の不足」がくっきり出た試合でした。
イタリアは序盤に理想的な形で先制し、6回にも大きな追加点機がありました。それでも仕留め切れず、球場の雰囲気にも後押しされた7回の猛攻に、一気に飲み込まれる形となりました。対するベネズエラは、序盤の苦境を救援陣でしのぎ、少ないチャンスを逃さず4点に変えた。一発の派手さより、終盤の地力とベンチワークで勝ったベネズエラ――そう総括できる一戦でした。
参照:【試合ハイライト】イタリア vs ベネズエラ|2026 ワールドベースボールクラシック | Netflix Japan
